設立の趣旨

改正信託法が2007年9月30日に施行されて以来、「家族信託」という新しい財産管理の仕組みが注目されています。
「家族信託」とは、‘信託’という手法を活用して、財産管理を家族自身が担う、いわば「家族の家族による家族円満のための信託」です。
『家族信託』は、制度趣旨上、どうしても柔軟性に欠け親族後見人の負担も大きいとされる「成年後見制度」や、抵抗感を持つ方も多い「遺言」の代わりとなる、円満な資産管理・承継を実現する仕組みでもあります。

我が国における認知症の患者数は推計で462万人、2025年には約700万人を超えると言われています。(平成28年厚生労働省発表:認知症有病率より) さらに、知的障がい者が約55万人、精神障がい者が約303万人、身体障がい者が約366万人など、財産をしっかり管理、承継をすることが困難な人が多くいらっしゃいます。
こうした状況を背景に、今後ますます『家族信託』に対するニーズが爆発的に高まることが予想されます。

しかし、『家族信託』は制度設計の自由度が高いため、無限の可能性がある反面、個々の状況に合わせた適切な設計の難しさもあります。今後、知識や経験の浅い専門家やコンサルタントが誤った提案をすることも想定されます。また、この制度を悪用して、高齢者や障がい者の財産を搾取しようとする個人・団体が現れてもおかしくありません。
そこで本協会は、正しい知識・情報・使い方の提供、活用事例の収集・分析・共有、専門家の育成、各行政への働きかけなどを中心に活動してまいります。そして『家族信託』の健全で適切な普及と安心できる制度の確立を実現すると共に、事故や犯罪の未然防止にも尽力してまいります。

今後、安心した老後と円満な相続の実現を目指すという理念を共有できる方を全国にから募り『家族信託』を対策などの一つの選択肢として活用できるためのノウハウの蓄積から環境の整備を図るとともに、財産管理や資産承継に不安や悩みを抱える一般の方々への正しい情報提供と信頼できる専門職への橋渡しを行っていきます。
『家族信託』の適切な活用により、一人でも多くの方に安心・円満な財産管理・資産承継が叶うことで社会に貢献できる組織を目指します。
皆様のご理解と幅広いご支援をお願い申し上げます。

2014年3月1日 代表理事 芳屋 昌治