用語集

家族信託についての用語集

信託契約とは、「委託者(財産を所有している人)」が「受託者(財産の管理処分権限を任せる人)に財産権の管理処分の権限を与え、定められた目的(受益者へ利益をもたらすこと)に従って、財産の管理処分などをさせる契約のことをいいます。
例えば、委託者(親)が受託者(長男など)に対して、自身の持つ金銭や有価証券、土地や建物などの管理処分の権限を与え、受託者(長男など)は委託者(親)が設定した信託目的に従って、受益者(親)のためにその財産(信託財産)の管理や処分などを行えるようにする契約です。

信託の成立・受託者の地位・信託財産など、信託に関する基本的なルールを定めた法律です。1922年(大正11年)の制定以来、84年ぶりとなる2006年(平成18年)に全面改正され、2007年(平成19年)9月新信託法として施行されました。
新信託法では、信託に対する現代社会のニーズを反映し、そのルールが大幅に見直されています。主なポイントとしては、
(1)受託者の義務等の内容を適切な要件の下で合理化
(2)受益者の権利行使の実効性・機動性を高めるための規律の整備
(3)多様な信託の利用形態に対応するための制度の整備
の三点となっております。

ⅰ)まず委託者が生存中は、委託者自信を受益者とします。
ⅱ)同時に、委託者の配偶者や子どもなどを自身の死亡後受益者(第二受託者)
(委託者の死亡と同時に、受益権を取得する権利を持つ受益者)と設定します。
これにより、自己の死亡後における財産分配を信託によって定めることが可能であり、遺言機能の代用として利用が可能です。
なお、本規定では、委託者は死亡後受益者を変更する権利を有するとともに、死亡後受益者(第二受益者)は委託者が死亡するまでは受益権を有しないと定められています。

ⅰ)委託者が生存中は自らを受益者として定めます。
ⅱ)受益者の死後は妻を第二受託者と定め、さらに妻の死後は長男(長女)を第三受益者とする旨を信託契約内に設定します。
改正信託法では、遺留分制度を遵守することを前提として、期間的な制約の上で、この信託が有効であるとしています。

商事信託は、「営業信託」とも呼ばれ、信託の引き受け手である受託者がその地位を「業として」引き受ける信託です。「業として」とは、収益や報酬を得るために継続・反復的に行うことをいいます。現時点で組成される信託契約の大半は商事信託であり、信託銀行・信託会社がその担い手となっています。

民事信託は、「非営業信託」とも呼ばれ、受託者がその地位を「業としてではなく」引き受ける信託です。2007年の信託法改正により民事信託の組成が可能となりました。
日本では、組成される信託契約のほとんどは商事信託(営業信託)ですが、欧米ではこれに似た「ファミリー・トラスト」等、日本の民事信託制度の趣旨に近い信託契約は歴史があり多く組成されています。

家族信託は、民事信託の一つです。
改正信託法により、委託者の財産管理や処分、承継の権限を家族に信託することができるようになり、その仕組みを利用する信託契約を「家族信託」と呼んでいます。
改正信託法では、「遺言代用の信託に関する規定」や「後継ぎ遺贈型の受益者連続に関する規定」などが整備され、個々の家族の事情に合わせて、生存する配偶者や子・孫等委託者が希望する者に対する生活保障の選択肢が加わるとともに、この制度を有効に活用することにより、個人事業の承継手段としての有効な選択肢が加わることとなりました。
家族信託は、商業信託と異なり、信託財産や信託契約内容は自由に設定できることから、その活用の幅は従来の信託制度より大きく広がったと言えます。

信託契約における「信託の設定者」のことで、信託目的に従って定める受益者のために、自身の持つ財産(信託財産)の管理処分の権限を定める受託者に与える人を言います。

信託契約で、委託者から信託財産の管理処分の権限を引き受けた人を言います。
委託者は、信託目的の達成のため、必要に応じ(信託契約の定めに従い)、受益者のために信託財産の管理処分その他の行為を行います。

受託者が信託契約に基づいて行った信託財産の管理処分等の行為によって発生した利益の給付を受ける権利(受益債権)を持つ人をいいます。
委託者と同一の人物を設定した信託契約は「自益信託」といい、他者の場合には「他益信託」といいます。

信託契約によって得られる受益者が有する権利の総称です。受益者は、受託者に対して、信託行為に基づいて信託利益の給付を受ける権利を主張することができ、受託者に対して帳簿閲覧請求や信託違反行為があった場合の差止請求などを行う権利も有しています。
また、信託制度を活用することにより、信託財産の所有権ではなく、受益権を譲渡することが可能となります。

受託者が委託者の定めた信託目的に従って、受益者のために管理処分などを行う権限を与えられた財産のことです。この財産は、信託設定時に委託者の所有する他の財産および受託者個人の財産とは完全に独立したものとして区別することが必要であり、その為の必要な手続き(登記・信託口座の開設など)が求められます。
信託法では、信託財産の独立性を確保するために、信託財産に対する強制執行等の制限、受託者の破産等、信託財産に関する相殺の制限の規定を設けています。

委託者が信託の設定によって達成しようとする「具体的な目標」です。様々な形で個人の想いを自由に設定することができますが、法律に反することや公序良俗に反することを定めることはできません。また、民法で定められる遺留分についてはその減殺請求を妨げることはできません。この信託目的に従い、受託者は信託財産の管理処分に関する行動を行います。

委託者自身が受益者となる信託のことです。
「認知症等の発症後対策の信託契約」などでは、この自益信託が多く活用されます。
一般に、自益信託の場合には、受益権の移動はありませんので税法上の「みなし贈与」の対象となりません。

委託者以外の第三者が受益者となる信託のことです。
「障がい者の親なきあと問題」「後継ぎ遺贈型の信託」などでは、この他益信託となります。
他益信託の場合には、信託契約組成により信託財産が「みなし贈与」と看做される可能性に注意が必要です。

自己信託は、委託者が自ら受託者となる信託のことをいいます。
これは、委託者が自己の財産を他人(受益者)のために管理処分する旨を宣言するという趣旨の信託を設定するものです。
自己信託では、委託者と受託者が同一となりますので、受益者の権利が信託目的に従い守られているかどうか、受託者の信託財産の管理処分等の行為が受益者の権利を損なっていないかを客観的にチェックすることが義務化されています。

受益者のために受益者の権利を行使する者です。受益者代理人は、特定の受益者に代わり、受益者の権利に関する一切の行為を行う権限を付与されます。
また、信託管理人や信託監督人とは異なり、信託契約による選任に限られ、信託当事者などの利害関係人が裁判所に申立てて選任することはできません。

受益者のために受託者の監督を行う者です。例えば、高齢者や未成年者などが受益者となる場合や、受託者が信託目的に沿った信託財産の管理処分などを行っているかどうかを監視・監督する必要がある場合などで、第三者に受託者を監視・監督させる目的で選任することができます。当初の信託契約上、信託監督人を選任していなかったとしても、その後の事情によって受益者など信託契約当事者の要請により、裁判所が信託監督人を選任することもできます。

受益者が存在しない場合や特定できない場合などに、想定される受益者のために、受益者が有する権利を行使する権限を有する者です。
一般に信託管理人は、信託行為の定めまたは裁判所の決定によって選任されます。