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第16回 家族信託の紹介を増やすには?信⽤残⾼の積み重ねが紹介につながる

一般公開期間:2024年4月1日 ~ 6月30日

※当記事は2024年4月の内容です。

 家族信託の法務・税務の知識をいくら学んでも、実際に顧客との相談をする場⾯がなければ、実務経験が⾝に着きません。多くの法務・税務の知識を有していても、実際に顧客との相談がなければ、その知識を活かす機会は限られます。より多くの案件を受注し、専⾨家としての経験を積むためには、効果的な集客戦略が必要です。 家族信託の相談案件を増やす、つまり、集客をし、案件を受注することで、専⾨家としての経験を積むことができます。
 紹介を通じた集客は、専⾨家にとって最も効率的な⽅法の⼀つです。しかし、どのようにして紹介案件を開拓し、信頼関係を築き、さらにはその関係を維持していくのでしょうか?

 この記事では、家族信託案件の紹介を増やすための戦略を詳しく解説します。

紹介案件開拓の重要性

 webやSNS,新聞折込などによる広告による直接集客の場合、⾒込み客と専⾨家との間では⾯識がないため、信⽤関係がゼロの状態から初回相談を通じて信⽤関係を作っていく必要があります。そのため、家族信託など⾼単価のサービスを受任するためには、相談後の検討というフェーズが発⽣がちで、初回⾯談から受任までに時間を要することが多くあります。
 弊社でも、相続登記など⾼価格帯ではないサービスであれば初回相談後、すぐに受任できるものの、家族信託については、初回相談以後、家族での会議を経た後、数週間、場合によっては数か⽉後に受任に⾄るケースが多くあります。そのため、直接集客では、初回相談後に顧客との関係をつくるためのメルマガや、電話、メール、チャットなどを通じた追客をするための仕組をつくるなどが必要です。
 紹介案件は、紹介者と⾒込み客との間で信頼関係が構築されています。〇〇さんの紹介という、紹介者の信⽤が有るうえでの初回相談となるため、直接集客とくらべ、信⽤関係がある状態からの⾯談となるため、⾼単価の家族信託でも受任率が⾶躍的に⾼いという特徴があります。
 紹介案件開拓は、”信⽤”をベースにした集客となるため、広告などのマーケティング費⽤をそれほど費やさなくても、効果的に家族信託案件を増やすことが可能です。この⽅法では、企業やエンドユーザーとの間に⽴つ「紹介者」を通じて顧客を獲得します。紹介者となり得るのは、⾦融機関、不動産会社、他の⼠業など、あなたの提供するサービスに⽑関係性がある様々な業種です。

理想の紹介者を特定する

 紹介元開拓を成功させるためには、まず、⾃分のサービスに関連する業種や、理想の⾒込み客を持つ業種を誰かを特定することが重要です。たとえば、相続や家族信託に関わる案件であれば、⾼齢者や資産家を顧客に持つ⾦融機関や不動産管理会社、税理⼠事務所、保険コンサルタントが良い紹介者となります。

紹介者との接点の構築

 ⾦融機関や不動産管理会社、税理⼠事務所は、⾦融資産、不動産など資産を有する家族信託のニーズがある⾒込み客と仕事上の信頼関係を築いており、その顧客が抱える相続や家族信託に関するニーズがある⾒込み客との接点があります。
 紹介案件を増やすためには、これらの関係者と接点をつくることを考えて⾏動していく必要があります。
 私が⾏った過去の経験でいうと、これらの関係者が参加する会合やセミナーなどに積極的に参加し、関係者の名刺を集めるということを⾏ってきました。例えば、家族信託普及協会が定期的に⾏っている研修会もその⼀つの候補となりえます。研修会には、異業種の⽅が多く参加しており、接点の⼀つとなります。⾃分の地域に⾒込み客と関わる紹介者が参加するような場がないか調べてみるとよいでしょう。

紹介者との接点後は、信⽤を積み重ねる

 関係性を持った後は、紹介者との”信⽤”を培うこという”信⽤残⾼”を積み⽴てていく活動を⾏っていきます。接点をもっただけでは誰も案件を紹介してくれません。⾃分が何ができて、紹介者に対して、紹介を通じてどんなメリットを与えることができるのか、ということを伝えることが必要です。この”信⽤残⾼”を積み⽴てていくためには、地道な活動が必要です。

 例えば、私の場合でいうと、紹介者となりうる相⼿に後連絡をし、直接⾯談できる機会を
つくり協業の提案をするということを⼼がけてきました。どのような提案を⾏っていくべ
きかは、後述します。
 このように、多くの⽅の名刺を集めることで紹介者の連絡先を知ることができます。連絡先がわかれば、DMやメルマガを送信し家族信託や法改正情報など、⾃分の司法書⼠、そして、⾏っている実務などの専⾨性を前⾯に出したセミナーの⾃主開催などを⾏えます。
 私の経験でいうと、多くの⽅の連絡先を知った後は、⺠間の会議室や公⺠館などセミナー会場を⽤意し、⾃主開催のセミナーを定期的に⾏っていました。最近では、オンラインのzoomのセミナーも開催できるようになったのでコストをかけずオンラインでのセミナーも⼿軽に⾏うことができます。
 セミナーでは、相続や家族信託に関する法律的な知識だけでなく、法務、税務の最新情報や参加者のかかわる⾒込み客を想定した活⽤事例を交えた内容を提供することで、⾦融機関や不動産管理会社、税理⼠、保険コンサルタントがその顧客に直活⽤できるということを理解してもらいます。さらに、⾃分のブログやメルマガを通じて、家族信託のほか、⾦融実務、税務や保険に関する最新情報や専⾨的な情報を定期的に発信していき、信⽤を積み⽴てることに注⼒していきました。

 このように何度も何度も、協業提案、セミナー⾃主開催、メルマガの配信など、やれることをしつこくやり続けることで、⾃⾝の専⾨性をアピールし、その分野の第⼀⼈者であるという信⽤を獲得できるようになります。これらの情報提供を通じて、⾃⾝の専⾨知識と信頼性をアピールし、⾃然と紹介を受けやすい関係を築いていくことができます。

紹介者との信⽤関係を構築し、紹介者のメリットを提案する

 紹介者と⼈間関係を構築し、実際に協業して紹介案件を増やしていく際は、紹介者のメリットも併せて考えていくべきです。⾃分だけが紹介をしてもらい利益を得るような協業では、関係は⻑く続きません。⾃分だけではなく、紹介者にとっても新規顧客獲得、顧客満⾜度の向上、業務効率化などのメリットが⽣まれるような提案を⼼がけましょう。
 紹介者との協業提案を成功させるためには、紹介者の現状や抱えている課題を理解し、それらを解決するための具体的なサービスや提案を⾏う必要があります。例えば、集客に困っている紹介者に対しては、紹介者が集客をしたい⾒込み客向けへのセミナーの共催や⾃分がもつノウハウを⽣かした集客アドバイスなどを提案します。

 例えば、私が過去⾏った経験でいうと、⾦融機関が顧客向けの相続アドバイスを⾏っていきたいというニーズがあれば、⾦融機関職員向けの相続相談するための知識を学ぶセミナーを提案するなど、⾏っていきました。そして、営業職員がつかう相談時のヒアリングツール、チラシの提供なども⾏い相談獲得をしやすい環境整備の提案も⾏っていきました。
 ポイントは相⼿がどんな課題があるのかニーズを⾯談を通じて理解するということです。紹介者となりうる⽅との⾯談時に次回の⾯談⽇程候補⽇をつくり、2回⽬の提案でこちらが提供できる内容を提案書をつくり⽰すということをしていました。これは、相続や家族信託の相談に携わる専⾨家であれば普段からやっていることだと思います。多くの専⾨家は通常の相続や家族信託の相談時に、相談者の課題を把握して、どんな対策ができるのかということを提案していると思います。それと同じことを⾒込み客ではなく、紹介者に対して⾏う、つまり、焦点を⾒込み客ではなく紹介者にあてるだけです。読者のみなさんも普段から⾏っていることなのできっとできるはずです。
 このように、紹介案件獲得には、紹介者との関係を構築し、時間をかけて信⽤を積み重ねていくということが重要です。

まとめ ・直接集客と⽐べ、紹介案件獲得はコストがかからないが、信⽤の積み重ねという時間を使う活動が必要

・紹介が発⽣する紹介者を特定し、紹介者が集まる会合、セミナーなどに出席し出会う機会を作る

・接点ができたあとは、直接連絡を取り協業提案、⾃主開催のセミナー開催につなげる

・協業提案では、⾃分のメリットだけでなく、紹介者のメリットなるように⼼がける

・紹介者の課題は何があるか、その課題を解決するために⾃分ができることは何があるかを考えて協業提案する

 直接集客の場合には、多くの⾒込み客との信⽤積み重ねが必要となりますが、紹介案件開拓では特定の紹介者との信⽤獲得に注⼒すればよいというメリットがあります。家族信託を扱う専⾨家が増えていくなか、”誰”に家族信託を依頼するかという、⼈としての”信⽤”が問われる時代になりつつあります。
 家族信託案件の紹介を増やすためには、紹介元との信頼関係の構築と維持、メリットを提供する協業提案、セミナーの活⽤など、地道な信⽤の積み重ねが必要です。この過程には時間と努⼒を要しますが、着実に取り組むことで、専⾨家としての信頼性と案件数を増やすことができます。紹介案件は、直接集客に⽐べて、費⽤がかからず受任率は⾼い半⾯、紹介者との時間をかけた信⽤の積み重ねが重要です。