読者の皆様
いつも大変お世話になっております。
弁護士の菊永です。
一般社団法人家族信託普及協会から、「家族信託実務ガイドWEB版」が創刊されることとなりましたので、私から家族信託に取り組む専門家の皆様に一言お伝えしたいと思い、寄稿させていただきます。
私が家族信託に取り組み始めてから、7年近くが経とうとしています。
振り返ると、7年前はまだまだ世の中で「家族信託」という言葉は決して知られていると言えない状況で、周りの専門家に聞いても「聞いたことがない」「わからない」という声が多かったように記憶しています。
それから時が経ち、「家族信託」をめぐる状況は大きく変わってきています。まだまだみんながみんな知っているとまでは言えない状況ですが、それでも新聞やテレビ、雑誌などで取り上げられる機会が増えたことから、世の中における「家族信託」の認知度はとても高まっています。
超高齢社会(全人口に占める65歳以上の高齢者の割合が21%超の社会)の日本において、今後も平均寿命が延びていくことが予想されるところ、統計上、平均寿命と健康寿命との間に一定の差があることから、誰しもが健康面に課題を抱えて生活をすることになる可能性を持っています。
特に、年齢が加わったことに伴って認知症を発症し、物事の判断が出来なくなってしまった場合には、本人は自ら契約ごとなどを行うことができなくなってしまいます。
こうした状況があることから、自分が元気なうちに、信頼できる家族などに財産管理を任せるという「家族信託」についてのニーズは今後も高まってくると思われます。
そのニーズに応えるためには、「家族信託」に関わる専門家が新しい情報にもしっかりとアンテナを張って、情報収集及び自己研鑽を積んでいく必要がありますし、「家族信託」以外の選択肢にどのようなものがあるかということなどについてもしっかりと目配せができるようになっておくことが必要となります。
「家族信託実務ガイドWEB版」は、「家族信託」にかかわる専門家の方々に最新の情報をお届けするチャネルとして新たにスタートします。
本誌をお読み下さる方々にとって、「実務に役立つ」だけでなく「仕事を行う上で好ましい刺激」が提供できるよう、私も取り組んで参ります。
「家族信託」はとても便利なツールですが、決して万能のものではありません。どういう場合に使うべきなのか、どういう場合に使うべきではないのか、などについても本誌に連載された記事などを見ていただき、考えてもらうことができれば幸いです。
これからの本誌を是非楽しみにしてください。