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一般公開

『家族信託実務ガイド WEB版』 3年目を迎えて

一般公開期間:2025年4月1日 ~ 6月30日

 『家族信託実務ガイド WEB版』は日本法令様が季刊で発行されていた『家族信託実務ガイド誌』を引き継ぐ形で、2023年4月号よりWEBマガジンとして再スタートしました。今号で2年が経過し3年目を迎えることになりました。
 毎回お読みいただいている読者の皆様に心より感謝申し上げます。

 本マガジンは一般社団法人家族信託普及協会の会員誌という位置づけであり、一般の方々にお読みいただくことは想定しておりません。専門家として常に最新の情報に触れていただき、一般の方々に対し家族信託を健全に普及させご利用いただくための情報発信サイトです。
 家族信託の認知はある程度拡がってきたと感じる昨今ですが、裾野が拡がれば拡がるほど、信託法の制度趣旨や法理論をしっかりと理解せず、また家族信託を組成するメリット・リスク等を家族全員にしっかりと説明・納得させずに、安易に取り組んでしまう専門職が増えてしまいかねないという問題を孕みます。

 私自身、毎日のように一般の方からの家族信託の相談を受け、また弊協会を通じて、全国の家族信託専門士・金融機関から多い時には月間100件近くの「信託契約書のリーガルチェック」に対応させていただいており、これらは着実に増加傾向にあります。家族信託の利用が拡がることは嬉しさを感じる反面、「問題のある信託契約書(金融機関で信託口口座が開設してもらえないに契約書)」と出会う機会も増えているのも現実です。
 既に信託法が改正(2007年施行)されて17年が経ちますので「出来たばかりの法律」とは言えないでしょう。しかし、まだまだ税務面・登記実務等で制度の解釈や判断が固まっていないテーマは少なくありません。だからこそ専門家は常に新しい情報に接し、学び続けなければなりません。
 何年か前に研修などに参加した程度で、あるいは数冊の書籍に目を通した程度で刻々と変わる家族信託の世界で専門家として通用するはずがありません。

 私達は、この『家族信託実務ガイドWEB』を通じて、「最新の実務情報」、「専門家が知っておくべき関連情報」などをこれからも発信して参りますとともに、一般の方々に対する新たな情報サービスを提供しようと考えております。
 研修の場では何度も繰り返しお伝えしていますが、お客様が「家族信託を利用してよかった」と感じていただくためには、「受託者が受益者のニーズに沿った信託事務を誠実・忠実に履行すること」が必須条件です。
 逆に、受託者が受益者の利益を損なったり、期待された役割を果たさない(果たせない)状況になった場合には「家族信託なんて利用するのではなかった」「家族信託は役に立たなかった」という評価になるでしょう。

 家族信託は、制度設計や契約条項の作り込みと同じかそれ以上に「契約後のメンテナンス」が重要です。信託の目的を達成するために、受託者や受益者が困っていないか、受託者が適切に任務を遂行できているかを、専門家は注視していかねばなりません。

 家族信託をより一層安心してご利用いただくために、そして適切に普及していくために、専門家の果たすべき役割はより広く、そしてより深くなっていくでしょう。是非これからも「学び続ける」ことを忘れず、一緒に取り組んで参りましょう。