※当記事は2023年10月の内容です。
家族信託、⽣前対策の情報を発信する専⾨家が増えています。
家族信託も、⺠間会社や家族信託を取り扱う⼠業が⺟体の企業が積極的にWebでの集客や、⾦融機関等との業務提携をすすめていくなど、家族信託をとりまく状況は数年前とは異なり、競合が増えてきています。
同じ規模や資本⼒がない、中⼩の事務所では同じ戦略は取れません。やるべきことは、適正対価で⾃分を本当に必要とする専⾨家に対してサービスを適正対価で提供する仕組み作りが必要です。
今回の記事では、⼠業ビジネスで知っておくべき、価格競争にならないための顧客のファン化と顧客リストの作り⽅について解説します。
家族信託を受任するための要素︓顧客のファン化
新規集客の基本としては、専⾨家側から情報を発信して⾃分ができるサービスの内容を認知してもらうということが必要です。例えば、WebO施策としてブログを書き定期的に更新し、Google等で上位に表⽰させる、YouTubeで動画を配信する、このような無料で情報を配信する⽅法があります。また、広告宣伝費はかかりますが、広告を配信するといった⽅法も考えられます。その⽅法だと、費⽤がかかってしまい、中⼩の⼠業・専⾨家では⼤⼿では太⼑打ちできません。
⼤⼿に打ち勝つために必要なのは、その⼈なら、⾃分の課題を相談できる、解決⽅法を⽰してくれる⾔う信⽤です。その信⽤を得られれば、価格競争に巻き込まれずにサービスを受任することができます。
家族信託は、顧客の置かれた必要なタイミングで、導⼊するサービスです。家族信託という情報を知った段階では、両親が元気で特に対策が必要がなければ取り⼊れる必要性がありません。弊社でも主催するセミナーや無料相談をうける相談者が多数います。しかし、その場で受任できるわけではなく、⼀旦家族と相談するということで検討したいという⽅が多くいます。
そこで、必要なのが、無料相談やセミナーを通じた依頼者との⼈間関係づくりと、顧客への継続的なアプローチの仕組みづくりです。無料相談では、多くの専⾨家は顧客の⽴場を鑑み、よりよい解決⽅法を提供しています。しかし、家族信託というサービスを導⼊するには、家族の状況が家族信託というサービスを必要とする時期にならなければ、いかに良い提案をしたとしても導⼊されることはありません。
そこで、必要なのが、家族信託が必要なタイミングに、専⾨家のことを思い出して、再度相談をしてもらう仕組みづくりなのです。
顧客リストをつくり、再度思い出してもらう仕組みづくりが必要
そこで必要なのが、相談者やセミナー参加者など専⾨家のサービスを検討した⽅へのへの再度のアプローチです。
例えば、税理⼠などの⽉次決算や不動産管理会社の管理報告など常⽇頃、顧客と定期的に会う接点があれば、必要なタイミングで声掛けし、相談を受ける機会はいつでもあります。
しかし、定期的な接点がない専⾨家の場合には、⾃社のサービスを忘れさせない、思い出してもらう仕組みづくりが不可⽋です。⽅法の⼀つとして、相談対応やセミナー開催後に時間をおいて過去の相談者等に直接電話連絡をする、個別にメールやショートメッセージを送るという⽅法でも対応できます。ですが、個別連絡するにあたっても、何かしら理由がなければ、連絡をとることが難しく、定期的な接点づくりの仕組みが必要です。
そこで、必要なのが顧客情報、つまり⾒込み客の顧客リストなのです。こういった情報を活⽤して、定期的なメルマガや事務所通信などの情報提供を⾏うことができます。
これをやるためには、専⾨家側で⾒込み客のメールアドレス、住所、電話番号、LINEの友だち登録を⽇々獲得し、顧客リストを作成していくことが必要です。これらの情報をもっていれば、専⾨家側のタイミングで定期的なメルマガなどによる情報配信や新規サービスやセミナー情報を公開したタイミングで告知できます。この顧客リストがあるか、ないかではビジネスを継続していくにあたって⼤きな差が⽣まれます。
例えば、あなたがセミナーを開催するため集客することを思いつき、いざ集客しようと動いた姿を思い描いてください。⾒込み客の連絡先をもっていれば、⼀⻫にメール、ダイレクトメール(DM)などを送れます。SNSでのフォロワーを有していればSNSを通じて開催するセミナーを告知して、費⽤をかけず集客できます。逆に顧客リストを有していなければ、畝に広告費を費やして告知しなければなりません。
顧客リストを持っている⽅が、多くの⾒込み客にアプローチすることが可能となります。このように⾃分のビジネスに関係性のある⾒込み客のリスト、すなわち顧客リストを⼤量に保有することが、ビジネスを進める上で優位なのです。顧客リストがあれば、Googleleなどのプラットフォームのアップデートなどによる外部環境の変化に左右されず、安定的に専⾨家側の情報を告知できるのです。
⾒込み客への情報発信は、特定の⾒込み客を対象に作成する
専⾨家が情報発信を作成する際には、ただ、⾃社の状況を告知するのでは効果がありません。ポイントは、⼀⼈の特定の顧客を対象に情報を送ることです。
多くの専⾨家が犯す誤りは、広範囲の顧客を対象として情報発信を⾏うことです。しかし、情報の中⾝が特定の顧客の興味や問題に合致していなければ、その情報は効果を発揮しません。受け⼿側にとっては興味がないので、いくら情報を送り続けても専⾨家のファンとはなりません。顧客にとって興味のある情報、解決策を求める問題に合わせた情報を提供することが、情報発信の成功への鍵です。
実際、家族信託の専⾨家として相続関連の業務を取り扱う事業者向けに情報を発信する際、受け⼿側としては単純な家族信託の知識を送るだけではなく、実際の実務上の運⽤における注意点や、具体的な顧客への提案⽅法、集客⽅法を知りたいというニーズがあります。⼀⽅、エンドユーザーには、それらの情報は関係なく、実際の家族信託の活⽤事例や⼿続き、注意点に関する情報が求められます。このように、情報は誰が受け取るかによって、求められるニーズが異なるのです。
例えば、50代〜60代のエンドユーザーを対象とするなら、その年代の⼈々が抱える疑問や悩み、そして期待をしっかりと把握し、それに合わせた内容を情報発信することが重要です。すると、その年代だけでなく、それに近い年代の⼈々も⾃然とその情報に引き寄せられます。
これは、⼀つの情報を⼀⼈の顧客、つまり特定の顧客のニーズに合わせて作成するという考え⽅から⽣まれます。その結果、その情報は特定の顧客にピッタリと合うものとなり、⾼い関⼼を持って受け取られるのです。
従って、情報発信の際は「この情報はどの顧客に向けて発信するのか」を明確にし、その顧客のニーズや興味を考慮してコンテンツを作成することが、効果的な情報発信の鍵となります。
適切な対価を得るためのキーはファンを作ること
適切な価格での取引を重視すると、顧客との深い絆の構築が必要となります。今の時代、多くの⼈が同じ業務を提供できるため、価格だけでなく、信頼性や親密性がある〇〇⽒や〇〇様とのつながりが選ぶ基準となります。少⼦化や⼈⼝減少の中で、⼀⼈ひとりの顧客との⻑期的な関係構築が鍵となります。
⼀度繋がった顧客とのコミュニケーションは、事務所通知、電⼦ニュースレター、LINE等、顧客がよく使⽤する⼿段を通して継続することが効果的です。事務所の継続的なサポーターや、ファンを増やすためのスタッフ採⽤⽅法など、”個”の価値が強調される時代となります。
顧客リストの作り⽅
顧客リストの作成にはどう取り組むのがベストでしょうか︖基本的に、顧客リストは2つのカテゴリーに分けられます。
・オフラインでの顧客リスト(名刺、事件簿)
・オンラインでの顧客リスト(SNSなど)
この顧客リストの構築と、専⾨家のファンを増やすという考え⽅が不可⽋です。以下、2つのリストの作成⽅法について解説します。
オフラインでの顧客リスト
住所や名前、連絡先は、事務所からの通知や電⼦ニュースレターの発送に不可⽋です。この情報を持っていなければ、コンタクトを取ることはできません。しかし、どうやってこれらの情報を収集し、管理するのでしょうか︖まずはその⽅法について紹介します。
・名刺
住所や名前、連絡先は、事務所からの通知や電⼦ニュースレターの発送に不可⽋です。この情報を持っていなければ、コンタクトを取ることはできません。しかし、どうやってこれらの情報を収集し、管理するのでしょうか︖まずはその⽅法について紹介します。
・⼀般顧客の事件簿
これまでのコンサルティングや案件で関わった顧客の情報も全てリストとして活⽤可能です。名刺や事例集からの情報の中には、信頼関係を築いてきた⼈たちが含まれているはずです。関係性の深さによってリストをランク付けし、ダイレクトメールなどの投資判断に利⽤することもできます。
顧客リストの中には、実際にビジネスを通じて信頼関係を築いた名簿があり、その名簿を使⽤すると、反応率が⾼いことが期待できます。
オンラインの名簿
note、アメブロ、Facebook、Twitter、Instagram、YouTube等のSNSは、フォロワー機能が存在します。オフラインでは連絡先の増加が重要である⼀⽅、オンラインではフォロワーの増加が重要となります。
SNSを使⽤することで、企業や事務所よりも、個⼈に直接ファンをつくることが可能になってきました。しかし、事務所のスタッフがそれぞれファンを獲得すること、そしてフォロワーが多いスタッフを採⽤することも戦略の⼀部として考慮すべきです。名刺の整理から始めて、⾃らの情報を定期的に配信できる顧客リストを増やすこと、そしてスタッフを巻き込みながら、どのように顧客リストを増やし、育てていくかに挑戦してみてください。
まとめ
・適正対価で受託するためには、専⾨家のファン化づくりという要素が必要い
・ファンづくりのために既存の顧客との絆を深めるには、顧客リストを整備・拡充する考えが⽋かせない
・オフラインの顧客データベース元にある名刺や事件簿をもとに構築し、これを基に事務所通信の郵送やメルマガの発⾏を⾏う
・SNS上では、届ける情報の質を上げてフォロワーを増やすことが⼤切で、これには定期的な情報更新が求められる
・オフライン・オンライン双⽅で、ターゲットとする顧客を明確にし、彼らに適した情報を提供してファンを増やす取り組みを⾏う
・中⻑期的には、全スタッフがこの思考を持ち、顧客データベースの拡⼤・活⽤を進めることが望まれる